クマノミを飼ってみたいと思っている人に、私が経験した飼育方法や考えをできる限りお伝えします。
思ったより日々のメンテナンスも楽ですし、決して難しいことはないです!
クマノミの特徴
淡水と海水の違い
ズバリ言うと、塩のみ
です。塩分濃度が少し厄介ですが、ここさえコントロールできれば淡水魚を飼うのと難易度は大差ありませんでした。ですので、淡水魚を飼われている方は、極端に言えば、塩と比重計さえ追加すれば飼育できます。これから飼育の方は、様々なものが必要になりますので、この後詳しく説明します。
クマノミの種類
クマノミといえば、ファイティングニモを思い浮かべると思いますが、純粋なクマノミ(本種)はちょっと違います。成魚は10cm以上になり、何よりオレンジより黒の部分が多いですし、だいぶイメージが違います。ニモのモデルとなったのは、カクレクマノミという種ということです。※本当は近種のアネモネフイッシュという情報もあります。名前の由来は歌舞伎役者の隈取模様から取られたと言われます。この種はオレンジの体に白の帯が印象的で、くねくねと泳ぐ姿が非常に愛嬌があります。またこのカクレクマノミは養殖個体も多く、白バンドの形や体色が黒のものもおり、バリエーションが豊かです。ちなみに我が家は、カクレクマノミ2匹+その他を飼育しています。
イソギンチャクとの共生
クマノミに切っても切れないものといえば、イソギンチャクだと思います。自然界でのクマノミの仲間たちは、イソギンチャクと共生しています。共生とは、まったく違う生物同士が、お互いに助け合って生きていくことです。クマノミは、毒をもつイソギンチャクの触手に逃げ込むことで、外敵から身を守ります。その代わりに、エサをイソギンチャクに与えたり、掃除をしたりして世話を行います。我が家でも共生を拝見することができましたが、本当に神秘的で感動を覚えました。
実際にカクレクマノミを飼う前に
飼育に必要なもの
最低限必要なものをご紹介します。水槽、フタ、水槽台、フィルター、水温計、ヒーター、水槽用クーラー、照明、ライブロック、サンゴ砂、人工海水、比重計、塩素中和剤(カルキ抜き)、水替えポンプ、バケツ、コケとりがあれば飼育は可能です。といっても、初期投資は結構かかりますね・・・
さらにイソギンチャクやサンゴを飼育する場合は、プロテインスキマーや水流ポンプはあったほうが良いと思います。
塩分濃度
海水魚飼育では、人工海水を作る必要があります。水槽の水量を把握したうえで、人工海水の量を決め、溶かします。その時に必要なものが、比重計です。水温25度の場合、1ℓの水に38gの人口海水の素を溶かすと、適正比重の1.023になりますが、つくった海水が比重計で1.020-1.027の範囲であれば問題ありません。我が家では専用のメジャーカップを使用し、すりきり一杯で10ℓの海水を簡単に作っています。
ライブロックの設置
直訳で生きた岩になりますが、その名の通りバクテリアやヨコエビやゴカイ、石灰藻など様々な微生物が生きたまま付着している岩になります。この岩を立ち上げ時に入れることにより、バクテリアが水槽内で増殖し、早期に水質を安定させることができます。状態の良いライブロックは、赤い石灰藻が多く付着しているものになります。
昼夜を作る
意外に重要な要素です。人間と同様に魚も昼と夜でリズムを作っており、夜は人間同様に眠る状態になるようです。クマノミはイソギンチャクに入って動かなくなりますし、ドリーで有名なナンヨウハギは、ライブロックの間に入り、姿を見せなくなります。昼夜は照明で調整します。照明自体に時間で調整できる高機能なものもありますが、ないものも多いので、その場合はタイマー機能ありの電源で時間を設定し、夜の時間は電源を切るという方法があります。
流れを作る
水流ポンプで流れを作ることも場合によっては必要です。自然の海は絶えず海流があることを忘れてはなりません。特にサンゴを飼育する場合は必須になり、動けないサンゴが栄養を吸収するには水流は不可欠になります。またよどみの防止にもなりますので、水質の安定にも寄与しますので、水流ポンプは出来れば導入したいものです。
費用(初期投資+電気代)
気になる費用ですが、初期投資は結構かかると思います。維持費はというと、餌代はそんなにかからないと思いますが、電気代は設備次第ではかかるかもしれません。詳しくは別の記事で記したいと思います。
カクレクマノミをお迎えする方法
ペットショップ
一番のおすすめは近隣のペットショップです。海水魚を置いていない場合もありますが、おおむね取り扱いがあると思いますし、海水魚の取り扱いがある場合はカクレクマノミは必ず販売されていると思います。持ち帰るのも近場で生体への負荷も少ないですし、困った場合にすぐに相談できるのもメリットがあります。
ホームセンター
近所にはたいていあると思いますが、生体取扱店舗もあります。しかし、品揃えが少なかったりや海水魚の取り扱いがない場合がありますので、ここは事前にチェックが必要です。
ネット通販
私は結構利用します。特に大手のCharm様はよく利用します。ネットの特徴は安いことと、品ぞろえが豊富なことです。ペットショップには欲しい生体がないことも多々ありますが、ネットでは大体ヒットします。ただ一番心配なのは死着です。海水魚はただでさえ広い海に住んでいますので、狭い空間でかつ長い時間過ごすと弱ってしまい、最悪死亡して到着ということもあり得ます。私は幸いにも体験はしたことがないですが、Charm様はきちんと死着保証もあり、安心で、対応も早いですのでオススメです。
海で採取
この方法もできなくはないですが、普通はできないと思いますし、オススメはできません。私は一度海の貝を一匹我が家の水槽に導入しましたが、恐ろしく繁殖してしまいました。何の種類かわからないものの導入はやめておいたほうが無難ですね。
お迎えの知識
迎える準備
クマノミの購入方法をご紹介しましたが、飼育に必要なものをそろえただけでは、クマノミをすぐに飼うことはオススメできません。なぜなら、立ち上げ当初は水中に微生物のバクテリアが十分に増殖しておらず、ふんやえさの残りを分解できず、水がすぐに汚れてしまい、クマノミがすぐに弱ってしまう可能性があるからです。ですので、バクテリアが十分増殖できる2~4週間は生体を入れずに稼働させるのが無難のようです。もし、生体導入を早めたい場合は、パイロットフィッシュでバクテリアの増殖を加速させるという方法もありますが、パイロットフイッシュが死んでしまう可能性もあるので注意が必要です。私は、パイロットフイッシュに青くきれいなルリススメダイを導入しましたが、弱ることなく1週間経過しましたので、カクレクマノミ2匹をお迎えすることにしました。しかし、1匹は弱って☆になってしまったことを考えれば、導入が早すぎたことは猛省しております。またルリススメダイとカクレクマノミとの相性が悪く、スズメダイがクマノミを追いかけるので、やむを得ず購入したペットショップに引き取ってもらったという経緯があります。カクレクマノミとの相性で考えると、デバスズメダイが良いようです。
ようやく本格稼働
飼育に必要なものを準備し、バクテリアを増殖させ、ようやく本格稼働です。私はカクレクマノミを中心に、ナンヨウハギ、エビ、カニ、貝、ヒトデ、イソギンチャクを当初から飼育しました。前文で記載したように飼育数は気を付けないといけないですが、甲殻類や貝は、残りのえさを食べてくれたり、苔を掃除してくれる種類もいますので、非常に有益だと思います。
水槽内での飼育数
ここは非常に難しいところだと思います。我が家では、60cm×30cm×30cm水槽で、水量54ℓですが、現在7匹を飼育しています。よく10ℓに1匹と聞きますが、魚の大きさにもよると思いますので、一概には言えないかなと考えています。
魚は大きいほど、食べる量も多く排泄物も大きくなり、飼育水を汚すからです。その分、プロテインスキマーの導入や水替え頻度を多くすれば飼育もできますが、水質の維持は大変なので多くの魚とイソギンチャクやサンゴの飼育は難しいかなと思います。いずれにせよ初めて立ち上げる場合は、たくさん飼育したい気持ちを抑えて少ない飼育数でスタートするのが良いと思います。
水槽のお手入れ
気になるのはどの程度手入れが必要かというところだと思います。私の場合は、2週間に1回蒸発した海水を足していること、水替えは2か月に1回ほどで海水魚は安定して2年ほどは元気にしています。ただし、サンゴやイソギンチャクはきれいな水を好みますので、もっと水替えをしたほうが良いと感じてはいます。種類によっては、長生きしているサンゴもありますが、サンゴの長期飼育は細やかなフォローができないと難しいと感じています。海水魚がいなくサンゴだけの水槽であれば水が汚れにくいので、栄養さえあれば話は別かもしれません。あとは毎日のエサやりの時に、苔掃除はしています。これは毎日水中に手を入れてこすっているというわけではなく、マグネット式のガラスクリーナーがありますので、それを使用しています。エサやりと合わせて10分程度です。毎日こまめにするとそこまで苔がこびりつくことはないので、鑑賞としての癒し価値を維持できます。苔だらけの水槽になると、見る気も減退し、苔だらけのみすぼらしい水槽になり、癒しのための水槽が本末転倒になりますのでここは意識して行っています。
カクレクマノミの飼い方
性格
カクレクマノミは警戒心が強く、見た目とは裏腹に意外に気が強いです。
大きさ
成魚は、8-10㎝になります。
エサ
何でもよく食べると思います。フレークタイプやペレットタイプなどの人工飼料やコペポーダやホワイトシュリンプなどの冷凍飼料、クリル、ブラインシュリンプなど様々な餌を食べますので、餌付けは簡単です。
適温
25℃前後が適温ですが、個人的には23~28℃くらいでも元気に餌は食べてました。
水質
アルカリ性で、pH7.8~8.3くらいであれば問題ないです。
病気
トリコディナ症や白点病が多いようです。病気については別の記事でご説明します。
寿命
ブリードとワイルド個体がありますが、ブリードの方が、病気にかかりにくく、丈夫と言われています。10年以上生きる個体もいるようです。
繁殖
水槽内でも可能ですが、イソギンチャクが必要のようです。
同種混泳
結論から言うと、可能です。特に幼魚の間は仲良く群れるので、非常に見ていて癒されます。しかし、成魚になるとナワバリ意識が強くなり、強い個体が弱い個体を追いかけて端に追いやったりするので、飼育数は重要になります。2匹だと敵対しやすいので、3匹など奇数が良いとペットショップの方に聞いたことがあります。
ボトリウム
今では小さなボトルでカクレクマノミを飼うことができるセットも用意されていますので、
まずはこちらから試すのもありだと思います。
カクレクマノミと他種の混泳
今まで飼育してきた魚
クマノミと他種との混泳は同種とは異なり比較的しやすいのかなと思います。
しかし、極度に気が強かったり、気が弱かったりすると、どちらかがおびえ
すみっこぐらしを余儀なくされます。
私が今までクマノミと混泳させた魚を紹介しますので、参考になれば幸いです。
■ナンヨウハギ
ニモとドリーの映画にもあるように、相性は全く問題ないですね。
逆にクマノミ同士がけんかしていると仲裁してくれる超優等生です!
■シキリルリススメダイ
色合いが非常にきれいなスズメダイでしたが、サイズがスズメダイのほうが大きかったこともでクマノミを追いかけることもあり、最終的には購入したショップに預かってもらいました。
■フレームエンゼルフィッシュ
鮮やかな赤の体色の小型ヤッコです。クマノミとは問題ありませんでしたが、
良く泳ぎ回るという共通点でナンヨウハギとの相性がそんなに良くありませんでした。
ただナンヨウハギが少し追いかけるくらいですので、そんなに問題はありません。
■マンジュウイシモチ
水玉模様で赤目の温和な魚。気が弱すぎるので、当初はクマノミに少し威嚇されていましたが、
時間がたつとお互い干渉しなくなったので、問題ありません。
■マダラハナダイ
体色は桃色で、体側には大きな暗色から黄褐色の大斑が多数あり、やや深い岩礁域に生息する深海魚の仲間です。下層を好むので、まったく干渉せず問題ありませんでした。
■カリビアンシーホース
お互い干渉しないので、混泳はできましたが、エサやりの時に若干の問題が出ました。カリビアンシーホースはエサを食べるのが遅いので、普通にあげただけではほかの魚にほとんどエサを奪われます。ですので、スポイド等でエサを口元付近までもっていってあげないといけません。あとフレークは食べないので、活きエサか冷凍エサが必要になりますので、このあたりが手間になりますが、それを補うくらいの個性的で見ていて面白い存在です。
甲殻類や貝類
ホワイトシュリンプ、エメラルドグリーンクラブ、マガキガイを飼育していますが、お互いまったく干渉しないので問題なく混泳できます。掃除もしてくれるので、重宝しています。
イソギンチャク
クマノミとえいば、イソギンチャクですよね。私も様々な種類のイソギンチャクを飼いました。イソギンチャクにカクレクマノミが入ったときは感動もしましたし、非常に癒されます。ただ、ハードルは決して低くないです。長期飼育は困難だと思います。私は沖縄産のハタゴイソギンチャクで1年が最長です。その他にもサンゴイソギンチャク、タマイタダキイソギンチャク、シライトイソギンチャクを飼いましたが、どれも短命に終わりました。光量や水質など様々な影響があると思いますが、最大の原因がよくわからないのが本音です。基本イソギンチャクは、褐虫藻が住み着いており光合成をするので光量が十分であればエサがいりませんが、我が家の光量は不足している可能性があるので、長期飼育ができたハタゴイソギンチャクは、クリルなどエサをあげていたのも1年飼育できた要因だとも思っています。
まとめ
- 水槽、人工海水以外にも設備は必要で初期費用はかかるが、ランニングコストは低い
- 淡水魚を飼育されている方は、人工海水・比重計があればすぐに海水魚飼育は容易
- 日々のメンテナンスも、プロテインスキマーや苔取りグッズで最小化可能
- クマノミは他種との混泳がしやすく、華やかな水槽が実現できる
飼育は難しくないですよ
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